貴女は シンデレラ、という物語をご存知だろうか?
王子が拾った硝子の靴に合う女を 町中から探し出す。
見つけた王子は女と幸せに暮らす・・・・。
じゃあ、
もし王子が硝子の靴に合う女を見つけることが出来なかったら?
+・+〜探すよ。この硝子の靴に合うたった一人の君を〜+・+
一緒に任務に出た者は必ずと言っていい程 コムイに告げる。
『神田と組んでの任務は もう勘弁して欲しい。』
と。
その度に科学班室長、コムイ・リーは頭を悩ませる。
みな、その場その場の空気だけで“本来の神田”を決め付ける。
コムイやラビなど長い間神田と居る者は 決してそう思ったことはなかった。
「みんなはさ。ユウのこと 態度がデカくて口が悪くて自分勝手って言うケドさ。
それって、外面的なユウしか見てないからだよな。
内面的には すっごく脆いよ、アイツ。」
小さい頃から頼る人がいない。
イノセンスの適合者。
周りと共有出来ない環境に居たからこそ 彼は悪の外面を装う。
「ラビは神田クンと長い付き合いだからね。周りの言うこと、納得できないでしょ。
確かに・・・彼は人一倍 デリケートだとは思うよ。だからこそ、一人で全て抱え込んでしまう。」
「良く見てんじゃん、ユウのこと。」
「僕より長く此処に居る、ラビの方が上さ。」
人は何故 素直になれない生き物なのだろう?
人は何故 人に身を委ねようとしないのだろう?
全てを抱え込む程の力など 有してはいないのに。
+++
「帰った。」
「あ、おかえりー♪」
「おかえりなさい、神田。怪我は?」
「大丈夫だ。」
久々の任務から戻った神田に ラビとリナリーはおかえりの挨拶をする。
リナリーの問いかけに ぶっきらぼうに答えると どかっ、とソファーに腰を下ろす。
兄さんに報告してくるから、とリナリーは部屋を出た。
「「・・・・・・・・・。」」
ラビと神田。
二人の間に沈黙が降りる。
しばらくして すっ、とラビが立ち上がったかと思うと 神田の前に立つ。
「何してんだ、お前・・・・。」
怪訝そうな表情を向け 神田は言う。
はぁ・・・、と溜め息をつきながら ラビは神田の胸に手を当てると ぐっ、と力を込めた。
「!!・・・・・つぅ・・・・っ!!」
「何強がってんのさ。肋 数本イッてんじゃん。リナリーに言った方がいいよ。」
「歩けんだから 問題ねぇだろ。」
「はぁ・・・えいっ!」
「くっ・・・つぅ・・・!ラビ!テメェ わざとすんじゃねぇ#」
再度 怪我をピンポイントで攻めてくるラビに 神田は怒りをぶつける。
ユウが馬鹿なだけじゃん、とラビは呆れ顔を作る。
「バっ・・・馬鹿ってお前・・・っ!#」
「素直になりなって。此処に何年居ると思ってんの?オレら。
ユウも“人に頼る”こと 学んだ方がいいよ。」
「頼らなくても 生きていける時だってある。」
「本当は待ってんだろ?自分を 本当に 心配してくれる人を。」
長い付き合いだからこそ判る。
多分 心の何処かで求めている。
自分に構ってくれる人を。
自分を想ってくれる人を。
本当は 人に頼りたい、と 心の中で思ってるんだ。
「ふざけんな。何 勝手に人の心の中決めつけてんだ。」
「図星?♪」
「いい加減にしろ。・・・オレはもう寝る。リナリーに言っとけ。」
六幻で身体を支えながら ゆっくり立ち上がり
扉まで歩く。
「・・・一つ言っとくが。」
「―――――――?」
「オレに合う奴なんて そう簡単にはいねぇよ。いるとしたら 相当つまんねぇ女だな。」
「―――――――。」
またそうやって、と ラビは再度溜め息をついた。
フン、と鼻で笑うと 神田はドアノブに手をかける。
が
神田が開けるよりも先に バン、とドアが開いた。
「あのね!明日ラビも非番だって!だから三人で遊びにでも・・・あれ?
神田 どうしたの?」
「――――――――っ;;;」
声にならない痛みが 神田に走る。
入ってきたリナリーの開けたドアが思いっきり直撃し 身動き不能となった。
その様子を見てリナリーははっ、と何が起こっているのか察し 治療班を呼ぶ。
「余計なコトすんな!」
「余計なコト?!神田こそ少しは考えなさいよ!」
そんな二人のやりとりを ラビは微笑みながら 傍観していた。
+++
「全治一週間ね、神田クン。」
「・・・マジかよ・・・;;」
医務室に強制送還された神田に コムイは告げた。
いくら全治五ヶ月の怪我を三日で治した彼でも 今回は最低一週間はかかるだろう、と
コムイは判断したのだった。
「気をつけた方がイイよ。回復が徐々に遅くなってきてる。ガタが来てる証拠さ。」
「・・・判ってる、んな事。」
コムイの言葉に 神田の表情は硬くなる。
命の残量など 自分でも判らない。
それでも 死ぬわけにはいかない。
「あんまり気を詰めるのも よくないよ。身体がもたないだろう?」
「別に どうってことねぇ。こんな事 アンタ以外に誰に話せってんだ。」
「―――――――っ。」
二人の間に張り詰めた空気が漂う。
コムイは頭の中で 神田にかける言葉を探る。
だが 今の彼にとって どんな言葉もただの気休めにしかならなかった。
「神田 元気?♪」
果物の入ったバスケットとフルーツナイフを片手に 明るくリナリーが入ってきた。
「・・・・どうしたの?兄さん、神田・・・・。」
「あぁ、何でもないよ。・・・まったく、何て幸せ者なんだ!うちのリナリーがお見舞いに来てくれるなんて!
コラ!神田クン!もっと嬉しそうにしなさいっ!」
「うるせぇ##」
心配そうに見るリナリーに コムイはいつも通りにふざけてみせ、部屋を出た。
「何の話してたの?兄さんと。」
「お前には関係のない話だ。」
ぶっきらぼうに返した神田に リナリーはそう?と苦笑した。
ベッドの横のイスに腰掛け リナリーは果物を剥く準備をする。
「何でもいい?何か希望ある?」
「いや、特にねぇ。」
神田の返答を聞くと リナリーは林檎に手をかける。
室内に 林檎を剥く軽やかな音が響く。
「神田ってさぁ。いつも何か考えごとしてるの?」
「あぁ?」
「いつもいつも 思い悩んだ顔してるから・・・一人で考え込んでるのかなー?って。」
「―――――――。」
はい、と神田の前に 切った林檎ののった皿を差し出す。
「別に何も・・・お前が考えてるよりも オレは思い悩んだりしてねぇ。」
「そう。・・・でも、何かあったら言ってね?
―――――か、神田の悩んでる顔とか 見たくないからね?////」
「――――――っ!////」
「!な、何言ってるんだろうね、私///あ、あのじゃあ・・・林檎置いていくから食べてね!///
お、お大事に////」
「あ、あぁ・・・///」
そそくさと後片付けすると リナリーはさっさと帰っていった。
リナリーの思わぬ科白に 神田は顔を赤らめながら放心する。
「気になるの?リナリーのことv」
面白そうに笑いながら ラビが神田の元へ歩み寄る。
「聞いてたのか、テメェ・・・///」
「いいんじゃない?そういうのも。ユウには必要な感情だと思うよ?」
「―――――――////」
神田の前に置いてある林檎を一つつまむと ラビは口に放り込んだ。
「オレには・・・。」
「―――――――?」
「オレには無理だろ。お前らより先に逝くかも知れねぇんだ。
オレがアイツについたところで アイツも未来に幸せなんて見出せないさ。」
はっ、と 一瞬悲しそうな表情を見せたラビだったが
「関係ないんじゃん?そんなこと。今、が大事だよ。ユウ?」
「―――――――。」
「――――――ユウも 硝子の靴のシンデレラ、見つけられたじゃんv」
「――――クセェんだよ、テメェは///」
―――――――王子が硝子の靴に合う女を見つけることが出来なかったら
未だ王子は一人葛藤していただろう。
ひょんなことから見つけられるケースもあるらしい。
オレは何となく そんな女を見つけた気がする。
★あとがき☆
神リナです。10のお題からまた一つ消化。
神田が硝子の靴、とかキャラ違―う。笑
アレンが来る前・・・かな、時代的には。
幼馴染的関係を書こうとするとどうもアレンの登場が・・・苦笑
ラビの科白のクサさは好きょv
クロウリーに対する科白も可愛かったじゃんv
男は胸に帰るところがあればイイらしいですょ☆笑