貴方の背中はまるで 何か大きなものを 課せられているかのように
広くて 力強くて。
貴方の手のひらはまるで 全てを受け止めてくれるかのように
大きくて 温かくて。
―――――私のコトも 受け止めてくれますか?
*:*−貴方の広くて温かい この背中―*:*
「今日 どっか行きたいトコあんのか?井上。」
「ん?特に無いけど・・・黒崎くんは?」
並木道を歩く 一護と織姫。
まだ春先
少し肌寒さの残る空気の中で 二人は歩を進める。
「あー・・・特にねぇなぁ。・・・ケド 折角出てきたのに 何もしねぇのはなぁ・・・。」
「映画とか 観る?」
「井上に観たいのがあれば、な。それ観るか?」
笑いながら言う一護に うん、と織姫は軽く笑い返した。
二人の間に 微妙な距離。
織姫は一護の少し後ろを歩く。
彼の 広い背中を見るのが好きだった。
彼の優しさも 全てを映してくれる、その背中が。
見ていて やっぱり男の人だなぁ、と感じる。
「ねぇ・・・黒崎くん?」
「あ?」
「ちょっと 変なコト訊いてもイイ?」
「何だよ、それ。何?」
遠慮気味に問いかける織姫に 一護はハハッ、と笑った。
「黒崎くんって・・・朽木さんのコト 好きなの?」
「・・・・・・はぁっ??!!///」
「おぉっ。予想以上の反応ですな、黒崎くん。」
しばしの沈黙の後 一護のオーバーリアクション。
はぁっ、と息をついた後 一護は呆れたように織姫に言う。
「アイツには借りがあんだよ。だからアイツがしつこく つきまとってくんだ。
―――――別にそんな気サラサラねぇよ。」
「ん・・・・そっか。」
そう言い 一護はまた歩き出す。
織姫も 後に続く。
この距離が 心地良かった。
やっぱり彼は 私の全てを癒してくれる。
彼の言葉が 声が 纏う空気でさえも。
「――――っていうか 井上。」
「―――――――?」
しばらく歩いた後 一護は立ち止まり、振り向いた。
「オレは今 誰と歩いてる?」
「――――・・・私?」
「そう!だから この状況で んな野暮なコト訊くなよな。」
「―――――っ///うん。」
しばらく歩いた後 今度は織姫が口を開いた。
「ねぇ 黒崎くん?」
「ん?」
「・・・手ぇ つないでも、イイ?」
「んあ?あぁ・・・・ほら。」
今までポケットに突っ込んでた手を 一護は差し出した。
一護の隣まで 少し駆け足で寄る。
少し冷めた織姫の手を包んだ一護の手は
仄かに温かみを帯びていた。
「黒崎くんの手 あったかいね。」
「あぁ・・・ずっと手 入れてたからな。
――――それにしても 井上。お前 手ぇ冷てぇのな。」
「え、あ・・・・ご、ごめん・・・;;」
申し訳なく思った織姫は 手の力を緩めた。
手を離そうと思ったが 一護の手がそれを遮る。
「別にイイって。てかお前 何遠慮してんの?」
「え?別に・・・・。」
「変に気使わなくてイイから。どっちかって言うと オレが気ぃ使わなきゃだろ?」
いつも通りでいいんだよ、と 一護は笑った。
いつも通りの凡庸な関係が良かった。
学校での普通の関係の延長線上の 普通の関係。
変に意識されても 気を使う、ということ自体 一護にとって無理難題だったから。
いつも通り話しかけてくれる織姫の空気を 求めていた。
また 並木道を歩く。
ほんの少しだけ 一護は昔話をする。
あの雨の日の あの過去を―――――――
何となく 話したい気分だった。
せっかく出かけているのに 暗くなるだろう、とは思ったが
織姫は一護の話を 静かに聞く。
それがまた 一護を安心させた。
「・・・タツキちゃんから お母さんが亡くなったのは聞いてたケド・・・。
そうなんだ・・・黒崎くんも悩んでたんだね。」
「悩んでたっていうか・・・後悔、かなぁ・・・。名前負けしたっていうか・・・。」
名前負け。
“護る”という名前を貰ったのに 自分はそんなに立派な人間になってない。
「でも今は 負けてないでしょう?黒崎くんは そんなに柔な人間じゃないよ。
――――家族思いだし。」
「・・・何か正面から言われると すっごく照れるぞ、井上;;///」
「そう?」
あー・・・、と照れる一護を見 織姫はクス、と笑う。
「はぁ〜・・・何かすっきりしたな。ありがとな、井上。」
「ん?いいよ いいよ。私も黒崎くんのコト少し判った気がするし。」
「そっか。・・・でも悪い;湿っぽくしちまって・・・;」
苦笑する一護の後方から 突如、騒がしい音が響く。
ダダダダダ・・・・
「「――――――――?!」」
吃驚して一護と織姫が振り向くと
そこには見慣れた二人の影。
「げっ;;啓吾に水色?!;;」
「わー✿凄いスピードだねぇ♪」
「こらーっ!一護ぉぉっっ!!勝手に一人で抜け駆けすんなぁっ!」
「・・・なんで僕まで・・・・。」
「井上さんはみんなの井上さんなんだぁぁっ!!こら、水色!お前も何か言ってやれ!」
「一護―っ。早く逃げてーっ。ただこの人 嫉妬深いだけだからー。
悔しいなら自分で幸せ見つけろってカンジだよねー。早く逃げてー。一護―っ。」
「あぁ?!水色!お前またハーレムで旅行行ったからって 調子乗んなよな!##」
「まずい;;井上!走るぞ!!」
「え?う、うん・・・。」
ぐいっ、と一護は織姫の手を引く。
そのままだぁっ、と走り出した。
水色たちに うるせぇ!と怒鳴りながらも楽しそうに笑う一護を見て
織姫もつられて笑う。
―――――――風を切って走る。
貴方の優しい手に引かれながら。
しっかりと私の手を握ってくれて。
貴方の笑顔を眺めて。
ここは私だけのポジションにしたい、と
心から そう思うの。
ねぇ―――――――黒崎くん?
★あとがき☆
肌寒い、とか書いてるけど
もう6月ですから!!苦笑
BLEACHから2作目は一護×織姫ですvv
前は姫、あんまり好きじゃなかったんだけど、
段々一護を想う彼女が健気でイイなぁ、と感じるようになりましたv
一護は私の理想の彼氏像ですね。
ちょっと照れ屋でぶっきらぼうになっちゃうんだけど、
気持ちは大事にしてくれる・・・・。。
そんな気がしますvv